フラット崩しの本質

2003年8月17日(日)

結局、木、金、土と雨で、日本学園の練習のほうは「走り」で終わったはずである。
FC杉並は茨城県総和町で、Abilityという常総学園の「おりこうさん」のチームと公式試合。グラウンドは総和町中央運動場というすばらしい芝生のピッチだが、なんの抵抗もなく10-0のゲームであった。

言うまでもなく、日本学園とFC杉並のあいだの練習方法に差異はない。
個性の差異はあるが、あまりそのことを気にしない。おもに対フラットまったく同じように「プレイしなさい」としている、しかし、現実のゲームには差異がある。
その差異が「個性」というよりは、結局はフラットを「崩す」という考え方の、選手の理解の「深さ」からくるのだと私は思っている。

そこを説明してみる。

説明することで、その差異を理解してもらいたいのでなく、フラット崩しの本質を読者諸兄が理解できるのではないかということが、私の願うことである。

へたなチームがフラットプラスプレスを採用すると、「うまいチームが負けてしまう」という事実がある。
自分のスタンスは「それではならじ」である。
うまいチームが勝つべきである。
そこでここは何度もくりかえしているところだが、「相手のラインにいきなり問題を与えるにはどうしたらよいか?」
その答えを、いろいろな言い方があるが、こちらの「ライン」と相手の「トップ」の勝負をさける、こちらの「ハーフ」と相手の「ハーフ」の勝負をさける、どちらに「転ぶか?わからないのだが」」相手のラインとこちらのトップとの「勝負」に「まずもっていく」ということを選手に言うわけである。

すると当然こちらのラインからでもこちらのハーフからでも、縦にどんどん「いれる」ということになる。

選手が誤解しやすいのは、この縦にいれるボールを極力「グラウンダ‐」にしろということである、なぜなら、浮きだまは基本的には、バックにつごうのよいボール「だから」フォワードはとくに2トップはおたがいの、タイミングをずらしながら、この縦のボールを受けて「ふりむこうとする」、ふりむければ、「即チャンス」だということが大事なことであろう。

こちらは相手のプレスの餌食になる、横パス、バックパス極力使わないのだから、縦に仮に5本いれて、4本とられても、相手にカウンターをくらうことがない、思うに相手のハーフの「前にかかるポイントでとられるわけでもない」「からだろう」

2トップのくいちがったタイミング、さらには「あがりめ」がトップ下で受けるのではなく、いわば、3トップのひとりであるかのように「ラン」して、相手の(2ボランチか、1ボランチかどうでもよいが)ボランチを「動かす」ボランチがこちらのあがりめを「待ちうけて」つぶしにかかるというそういう状態に、もっていかない。

こうやって、まず「相手の守備のはいりかた」をかく乱する。
相手の守備の「はいりかた」はラインがあって、その前で、かれらのハーフがこちらのボールにプレスをかけ、ある場合はオフサイドを誘い、ある場合は、彼等のハーフが追いまくって、インターセプトする、「そういうことをねらう」というのがはいりかたであるし、計算なのだが、いきなりこちらのラインに、こちらが強襲をかける、ということに「備えていない」

どちらにせよボランチだけでなく他のハーフもからだが自分のゴールのほうに「向く」ということは、計算「外」である。
だからそこの時間帯を仮にしのいでも「ハーフに疑問がわくだけで=前に、前にプレスしてるだけでよいのか?」ということを思わせるだけでもよいわけだ。
協働=この場合は守備における、タイミングをあわせた、追いこみかた、プレスのかけかたを疑問地獄に追い込むだけでよいわけだ。

こちらの縦=相手のラインとの勝負もせいぜ20分やれば、その先続かない、だからその21分から先は、
1) あがりめが「ラン」するか21分以降は、「あがりめ」としてパスを受けにいわば、トップ下の機能を発揮するかということが大事である

2) トップに急襲「ではなくなるから」誤解をおそれず言えば、トップはその0-20分までは「どんなボールも自分のところに」「くる」として走り「だし」をするわけだが、21分からは、「でてきそうなときにだけ」走りだしでもかまわないとしてある

3) ここから、いわばこちらの「ハーフがねらいを開始するわけだから」ハーフ→2トップだけでなく、ハーフ→ウイングハーフというパスが当然常に担保されていないといけないということで、ウイングハーフの「オフザボール」すなわちアップアンドダウンということをやかましくいう。

4) 21分以降ポジションチェンジが必要なのかどうか、必要ならやればよい、しかしいわば、ポジションチェンジは21分以降、比較的、常識的なものになる。チェンジサイドもできるようになるかもしれない。

5) ラインでもまわせるかもしれない。しかし、ラインでまわしすぎれば、トップは自分ンのランが無だに終わって気を悪くするだろう、そのバランスがむずかしい

6) 0―20分までは、別な言い方をすれば、ラインもボランチも、味方の2トップと仮フォワードの、あがりめを見ろ、である、21分以降は当然、まず「あがりめ」を見ろである。

恋愛日記を作り出したので、コーチング日記は艶っぽさがなくなった、いわば戦術論、技術論のみである。

赤坂にもどって、田舎やで食事。
明日から日本学園を今度は勝たせなくては、ならない。
仮に、レアル・マドリッドの監督なら、明日が「大一番」という前の夕食、どう言う思いでとるのか?

「この生活をなくしたくない」と思うのかしら。そう思って「必死」の思いに、自己を駆るのかしら?
(この項終わり)